吉田寮問題にかかわる教員有志緊急アピール

京都大学の教員有志が主体となって「吉田寮問題にかかわる教員有志緊急アピール」を発表しました。 呼びかけの主な対象として想定しているのは京都大学の教授会構成員ですが、一般の方にもご賛同いただけます。賛同フォームよりお願いします。第3次集約を4月24日とします

吉田寮問題にかかわる教員有志緊急アピール

今年2月12日、京都大学執行部は新棟への居住移転を一定の条件のもとで認める一方、現棟とその周辺区域は「立入禁止」とする方針を明らかにしました(「吉田寮の今後のあり方について」)。

これまで大学執行部は「寮生の安全確保」という理由で全寮生退去を求めてきましたが、老朽化した現棟からばかりでなく、新寮に居住する寮生の退去までも求める理由について説得力ある説明をおこなってきませんでした。「安全確保」が理由である以上、新棟での居住の継続を認めるのは当然のことです。ですが、その条件として「寮生又は寮生の団体として入寮募集を行わないこと」などを求め、今後吉田寮自治会を交渉相手として認めないと宣言していることに疑問を感じざるをえません(「現在吉田寮に居住する者へ 」)。この宣言は、大学執行部の本当の狙いが「寮生の安全確保」ではなく、自治寮としての性格の解体であることを物語っています。なぜ今、そうした措置が必要であるのか、寮生に対してはもちろん、各部局教授会に対する説明すらなされてきませんでした。

さらに、大学執行部が、現棟周辺区域の「立入禁止」処分と同時に新棟への居住移転の認容という方針を示したことにも疑問を感じざるをえません。大学執行部はこれまでの寮生との話し合いにおいて、新棟への居住移転による寮存続という解決策を示してきませんでした。昨年8月の川添信介厚生補導担当副学長と吉田寮自治会の交渉では、寮生が入寮選考など自治寮としての慣行の存続を求めたことに対して、川添副学長は「けしからん」と声を荒げ、「恫喝と取っていい」と発言したとのことです(『京都新聞』2019年1月17 日付)。説得的な説明を欠いたままの「恫喝」は、力関係を不当に利用して学生の修学上の環境を害する「ハラスメント」にあたるおそれがあります。今回の現棟周辺区域「立入禁止」処分は、この「恫喝」を上塗りするものです。100年以上にわたって存続した自治寮の解体を引きかえとして新寮に居住するのか、それとも強制的に立ち退かされるのかという二者択一を迫る「踏絵」は、それ自体としてきわめて不当な権力行使です。

今回の方針は「部局長会議及び役員会を経て」定めたと記していますが、教授会に対しては部局長会議の「報告」がなされるだけで「審議」はなされてきませんでした。しかも、これまでのところ「寮生の安全確保」が必要という、説明にならない説明しか提示されていません。「人権を尊重した運営を行うとともに、社会的な説明責任に応える」という京都大学の基本理念はどこに行ってしまったのでしょうか。

私たちは、山極寿一総長に対して現棟周辺の立入禁止処分を撤回した上で、教授会で十分な説明と審議をおこない、下記の方針で学内の合意形成を図ることを求めます。

 

一、中断中の吉田寮自治会との対話を再開させること。

一、全寮生退去の方針を見直すこと。

一、新棟の継続利用と自治寮としての慣行を認めること。

一、現棟の耐震化を含む今後の利用法について吉田寮自治会と協議すること。

 

【呼びかけ人(50音順、2月15日0時現在)】

石井美保(人文科学研究所教員)、岡田直紀(農学研究科教員)、木村大治(アジア・アフリカ地域研究研究科教員)、小関隆(人文科学研究所教員)、駒込武(教育学研究科教員)、小山哲(文学研究科教員)、高山佳奈子(法学研究科教員)、福家崇洋(人文科学研究所教員)、藤原辰史(人文科学研究所教員)、細見和之(人間・環境学研究科教員)、松本卓也(人間・環境学研究科教員)、水野広祐(東南アジア地域研究研究所教員)

 

【賛同フォーム】

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【2月14日京都大学記者クラブで発表したアピール文からの変更点】

*1 「現在吉田寮に居住する者へ」と題する文書へのリンクを挿入(2019/2/14 23:51)

*2 「教授会」という用語の初出に「各部局」という言葉を追加(2019/2/14 23:51)