吉田寮問題にかかわる教員有志緊急アピール

京都大学の教員有志が主体となって「吉田寮問題にかかわる教員有志緊急アピール」を発表しました。 呼びかけの主な対象として想定しているのは京都大学の教授会構成員ですが、一般の方にもご賛同いただけます。賛同の受付は終了しましたが、今後も関連情報などをアップしていく予定です。

賛同者からのメッセージ集(2月19日15時現在まで)

◯小山哲さん(呼びかけ人)のメッセージ

京都大学における学生寮の自治の制度的な根拠は、次の規程によるものです。
京都大学学生寄宿舎規程」(昭和34年2月10日 達示第2号制定)

「第2条 各寮における寮生活の運営は、寮生の責任ある自治によるものとする。
2 寮生の自治に関する規則は、寮生がこれを作成し、副学長の承認を得るものとする。その規則を変更しようとするときも同様とする。」

寮生が主体となって自治を行なう権利は、この第2条によって保障されています。
また、入寮者の選考については、寄宿舎規定の第4条に条文があります。

「第4条 入舎する者の選考は、寮生代表の意見をきいて、副学長が行う。」

「寮生代表の意見をきく」ことが入寮選考の前提条件になっています。「自治会」という団体名は規程上はありませんが、慣行として、各寮の自治会が第4条の「寮生代表」に相当する団体とみなされてきたものと考えることができるでしょう。

2月12日付で発表された「吉田寮の今後のあり方について」のなかで、川添副学長が「もとより本学は、学生寄宿舎における学生の責任ある自治を尊重する」としながら、「本学は、基本方針を実施する過程において、吉田寮自治会による吉田寮の運営実態が到底容認できないものであることを認識するに至った」と述べているのは、上記の第2条の表現をふまえたものです。2月12日付の声明によって、京都大学は、吉田寮自治会は第2条で定められた「寮生による責任ある自治」を担う資格と能力を欠いていると判断した、と公的に表明したことになります。
問題は、そのような判断を下すにあたって、十分な調査と議論の手続きがふまれることなく、一方的に宣告がなされている、という点にあります。
大学執行部の「吉田寮自治会による吉田寮の運営実態が到底容認できないものである」という認識は、現在、各研究科・学部で教員が指導している(あるいは、将来、指導する可能性のある)院生・学生から、大学の規程によってこれまで認められてきた権利を剥奪し、彼らの生活と学業の環境を大きく変更する重大なものです。一般の教員には、大学執行部による上記の認識が適切なものであるのかどうかを判断するための具体的な情報も、オープンな議論の機会も、与えられてきませんでした。「多様かつ調和のとれた教育体系のもと、対話を根幹として自学自習を促し、卓越した知の継承と創造的精神の涵養につとめる」、また、「学問の自由な発展に資するため、教育研究組織の自治を尊重するとともに、全学的な調和をめざす」という京都大学の基本理念に照らして、このような状況は不適切であると考えます。吉田寮自治会との対話の道を閉ざさず、また、教授会で十分な説明と審議をおこない、学内の合意形成を図ることを求めます。

◯柴田一成さんのメッセージ

緊急アピールの趣旨に賛同します。

◯西澤真樹子さんのメッセージ

京都市民です。京都大学は生活をともにする学生たちの共同体の場を壊さないでください。大学移転に絶望して命を断った研究者のような悲劇が京大でも起こるのではと不安でなりません。大学が対話を一方的に打ち切るのは間違っています。

◯「匿名希望」さんのメッセージ

吉田寮が苦しめられる中、有志とはいえ教授会が声を上げたのは賞賛に値すると強く思います。日本に僅かしか残らない学生自治の拠点、現代社会に求められる「思考性」「多様性」を育てるに適する「自治」を何としてでも守らねばなりません。

◯「匿名希望」さんのメッセージ

寮生の方の自治と安全のどちらも後押しできるよう、力になれることはないだろうかとずっと考えてきましたが、こちらの「緊急アピール」は心から賛同できるので、署名いたしました。応援しております。

◯林 葉月さんのメッセージ

対話の学風を掲げながらも学生達と従来通りの団体交渉をせず、今までの確約を引き継ぐこともせず一方的に反故にして強引に押し進める京都大学のやり方に強く反対する。学生が自治をする中で経験することの価値を軽んじてはならない。なぜならそれらは大学を卒業してからも社会において人権のひとつとして考え実行され続けるべきことの一つだからだ。自分たちのことは自分たちで考えて決める、そういった当然の権利を私たち全員が持つ。それを踏みにじる大学のことを学外からも見過ごすわけにはいかない。山極は総長なのだから大きな権限を持つ。川添を罷免するべき。出来ないのなら退陣せよ。

◯「匿名希望」さんのメッセージ

大学当局の家父長制的/植民地主義的管理の推進の問題は吉田寮にかぎらず

◯雨宮 愛さんのメッセージ

百万遍の近くの校舎で学ぶ京大院生として、お正月の「おみくじ」や、バレンタインの「チョコレート」を配る、無邪気で可愛らしい立て看が、週末でも光の速さで撤去されている現実に、職員に休日出勤をさせてでも有無を言わさず取り締まる思想統制の怖さと悲しさを感じます。

立て看がいけないのではなく、「権力に歯向かう学生が気に入らない」という政府や大学上層部の思惑が見え隠れし、大多数が保身の為に「事無かれ主義」でやり過ごす中、私は、誰が何と言おうと、おかしいことはおかしい!と反対意見を堂々と表明できる人間でありたいと思います。

先生方が、「京大教授」という身分を賭けて声を上げて下さったことに最大限の敬意と謝意を表明します。

◯田畑元治さんのメッセージ

学生たちが、生活の場の運営方法などを、自分たちの知恵と手間をかけて試行錯誤できる稀有な場としての自治寮は、今こそ必要とされる「教育の場」だと思います。これからの世界を切り拓く若者のためにも、自治寮としての吉田寮を是非、維持・発展させて下さい。どうかよろしくお願い致します。

◯「匿名希望」さんのメッセージ

現在京都大学を目指している高校生です。昨年の11月祭で吉田寮の見学に参加させていただき、寮生の方々が寮を続けるために様々な活動を主体的に行う様子や、建物の美しさと歴史を感じさせる佇まいにとても感動しました。合格したら吉田寮の現棟にぜひ住みたいと思っていたのですが、大学当局の声明文を読み、もう現棟には住めず寮の自治も認められなくなってきているのかと非常に残念に感じています。教員の方々がこうして声をあげてくださったことが本当に嬉しいです。耐震性の問題などもあるということなので今まで通りというのは無理なことだと思いますが、旧制第三高校時代からの貴重な建造物と寮生の自治が良さを失わず残っていくことを願っています。

◯星野文男さんのメッセージ

吉田寮は誰にも開放された寮のはずです。私どもの先輩も京都旅行の際にお世話になったと聞いています。

◯鈴木博さんのメッセージ

かつての京大は、曲がりなりにも教官が運営の中枢を担い、闘う相手ではあっても言葉が通じていたような記憶があります。今は、管理することしか考えていない官僚が主導権を握っているように見えて、その下で働く職員も上を見るばかりで学生を見ていない。心ある教官の皆さんが立ち上がって学生と連帯し、行動を起こすことを切に願います。

◯「匿名希望」さんのメッセージ

現在の京大当局の在り方は極めて不条理かつ恣意的であり、「ぼくのかんがえたさいきょうのきょうだい」へと突き進むものです。このような在り方を批判的批判的反省的に捉えなければ、天然の「おもろい」は死に絶え養殖の「おもろい」が蔓延るおもろくない京大になるでしょう。

◯「匿名希望」さんのメッセージ

学生や教員、職員等によって構成される大学としてのあり方を今一度考え直さねば、これから先の京都大学は大学当局の「おもろい」というアピールとは裏腹にどんどん「おもろない」大学になってしまうと思う。

◯鳥居千朗さんのメッセージ

完全に時勢を見誤っている。