吉田寮問題にかかわる教員有志緊急アピール

京都大学の教員有志が主体となって「吉田寮問題にかかわる教員有志緊急アピール」を発表しました。 呼びかけの主な対象として想定しているのは京都大学の教授会構成員ですが、一般の方にもご賛同いただけます。賛同の受付は終了しましたが、今後も関連情報などをアップしていく予定です。

「対話による吉田寮問題の解決を求める要請書」のサイトを新たに立ち上げました

 4月26日の京都大学当局による吉田寮生提訴、7月4日の第1回口頭弁論を前にして、教員としての立場から新たに「対話による吉田寮問題の解決を求める要請書」をまとめ直し、7月1日に総長宛に提出しました。

要請書では、教員の教育活動に直接かかわる案件であるにもかかわらず、部局長会議の審議すら経ずにこうした決定がなされたことに対して抗議。同時に、現在の「ボタンの掛違え」ともいうべき事態の根源には、大学執行部による寮自治会との「確約書」の破棄があることをふまえて、裁判の取り下げと対話による解決を求めています。

今回は呼びかけの対象を教員(助教、講師、准教授、教授)に限定しました。7月1日現在で呼びかけ人は43名、呼びかけ人以外の賛同者は24名です。

今後、関連情報や呼びかけ人のメッセージや関連情報を掲載していく予定です。京都大学教員以外の方も、各記事へのコメント機能を通じてメッセージをお寄せください。

呼びかけは、裁判が終わるまで継続する予定です。

seeking-dialogue.hatenablog.com

 

京都大学執行部による吉田寮生提訴にかかわる緊急抗議声明(4月27日)

 すでに新聞報道もなされていますが、昨4月26日夕方、京都大学執行部は「吉田寮現棟に係る明渡請求訴訟の提起について 」を発表し、吉田寮生20名を提訴しました。連休前という抗議活動の組織しにくいタイミングをねらった姑息な対応に対して、緊急抗議声明を発表しました。今後、裁判支援のカンパなどの呼びかけをおこなう予定です。 


 4月26日、京都大学執行部は吉田寮生20名を相手取って吉田寮現棟(新築の旧食堂棟を含む)の明け渡しを求める訴訟を京都地裁に提起した。
 わたしたちは、この措置に断固として抗議する。
 この数年間、大学執行部が吉田寮自治会に求めてきたのは、寮生の「安全確保」のために老朽化した現棟からの立ち退きだったはずである。
 吉田寮自治会は、2月20日発表の声明において、5月末を目処としてすべての寮生が新棟に移転する意思を示した。
 それにもかかわらず、新棟への移転を進める措置をとらなかったのはなぜなのか?
 そればかりでなく、寮生を相手取って立ち退きを求める訴訟をおこしたのはなぜなのか?
 わたしたちには、まったく理解できない。
 ただひとつわかることは、大学執行部が「学生を守る」という本来の役割を放棄して、教育機関としての自殺行為をあえておこなったことである。
 言葉による対話と説得の能力を欠いていることを、大学執行部が自ら証明してみせたことである。
 わたしたちは、京都大学の内部にあって、このような京都大学のあり方に対して抗議の意を表明し続ける。 

「吉田寮問題にかかわる教員有志緊急アピール」呼びかけ人一同

2019年4月27日

山極総長宛に賛同者名簿を提出しました(4月24日)。

 4月24日に山極総長宛に「吉田寮問題にかかわる教員有志緊急アピール」本文、賛同者名簿、すべての賛同者のメッセージを提出するとともに、呼びかけ人との懇談を求める申し入れ書を提出しました。

 その後、4人の呼びかけ人(水野広祐、高山佳奈子、福家崇洋、駒込武)が記者説明会に臨み、今回の緊急アピールについての経過説明、賛同者をめぐる状況を報告すると同時に、緊急アピールを発した2月14日以後の状況をふまえて吉田寮問題についてそれぞれの意見を述べました。

 ご賛同いただいた方への報告を兼ねて、以下に記者説明会用の資料を掲載します。

 賛同者名簿については教員のみ名前を出しています。

 賛同者のメッセージ(抜粋)については様々な立場からのメッセージを付き合わせることで「寮生と元寮生、学生、教職員、そして地域住民にも開かれた真剣な討議」の可能性をひとつの仮想的なイメージとして示しました(これも教員のみ名前を出しています)。

 この「真剣な討議」の過程に山極総長や川添理事にも加わってもらえるように、今後も働きかけを続けたいと思います。このブログを通じて、吉田寮にかかわる情報発信も続けていきたいと思います。

         「吉田寮問題にかかわる教員有志緊急アピール」事務局 駒込 武

 


(記者説明会用資料)

「吉田寮問題にかかわる教員有志緊急アピール」について

 【経過】

  • 2月12日、京都大学執行部が「吉田寮の今後のあり方について」「現在吉田寮に居住する者へ 」を公表。後になって、前者は2月12日の部局長会議にかけられたものの不十分な説明しかなされていないこと、川添信介副学長名義の後者は部局長会議の議を経ていないことが判明した。教授会に対しては事後報告とされた。
  • 2月14日、教員有志が「吉田寮問題にかかわる教員有志緊急アピール」を発表。賛同の呼びかけを始める
  • 2月20日、吉田寮自治会が「5月末をめどに現棟(旧棟)の居住を取りやめる」とした上で自治寮としてのあり方について大学当局との話し合いを求める声明を発表。
  • 3月13日、吉田寮自治会が大学が示した新棟への居住の条件などについて話し合いを求める「要求書」を提出
  • 4月11日、川添信介副学長が吉田寮自治会「要求書」について見解を表明。「吉田寮現棟に居住し続けている者には、危険な現棟から直ちに退去するよう、ここにあらためて求めるものである」。
  • 4月22日、「吉田寮問題にかかわる教員有志緊急アピール」への賛同を締め切る。
  • 4月24日、総務課職員に賛同者名簿等を提出。5月10日(金)を回答期限として、総長との懇談の可否にかかわる回答を求める。

【賛同者】合計…401名役職・所属は署名賛同時点のもの)

○教授会構成員…43名(うち匿名希望2名、下線は呼びかけ人)

足立芳宏(農学研究科),安部浩(人間・環境学研究科),石井美保(人文科学研究所),伊勢田哲治(文学研究科),岩城卓二(人文科学研究所),江田憲治(人間・環境学研究科),大倉得史(人間・環境学研究科),岡真理(人間・環境学研究科),岡田温司(人間・環境学研究科),岡田直紀(農学研究科),川島茂人(農学研究科),川島隆(文学研究科),木村大治(アジア・アフリカ地域研究研究科),小関隆(人文科学研究所),駒込武(教育学研究科),小山哲(文学研究科),酒井敏(人間・環境学研究科),阪上雅昭(人間・環境学研究科),塩田隆比呂(理学研究科),柴田一成(理学研究科附属天文台),清水以知子(理学研究科),杉山卓史(文学研究科),高嶋航(文学研究科),高山佳奈子(法学研究科),武田宙也(人間・環境学研究科),田邊玲子(人間・環境学研究科),谷川穣(文学研究科),玉川安騎男(数理解析研究所),中嶋節子(人間・環境学研究科),那須耕介(人間・環境学研究科),西平直(教育学研究科),西牟田祐二(経済学研究科),福家崇洋(人文科学研究所),藤原辰史(人文科学研究所),細見和之(人間・環境学研究科),松本卓也(人間・環境学研究科),水谷雅彦(文学研究科),水野広祐(東南アジア地域研究研究科),森川輝一(法学研究科),森本淳生(人文科学研究所),山内淳(生態学研究センター)

○教授会構成員以外の教員…10名(うち匿名希望4名)

○職員…6名(うち匿名希望2名)

○学生、院生、聴講生、科目等履修生、研究生、研修生等…110名(うち匿名希望54名)

○市民(名誉教授や同窓生などを含む)…232名(うち匿名希望56名)

 

【賛同者からのメッセージ(抄録)】※改行の変更あり 

〇教員(石井美保さん)のメッセージ(抄)

 学生食堂のテーブルにパーティションを作ること。

 無線を持った警備員を正門に常駐させること。

 立て看を撤去し、設置できる場所や期間や団体を管理すること。

 吉田寮から学生を退去させ、コミュニティを解体すること。

 これらはみんな、連動して起きている出来事だ。そうやって路地的なるものの排除を進めながら、他方では多額の宣伝費を使って「おもろい京大」のイメージが喧伝されている。おそらくは、お客様としての未来の学生たちに対して。管理する側にとってややこしい、薄暗い、危なっかしい要素を排除して、どこまでもクリーンで合理的でコスト・ベネフィットの帳尻が合うような、そんな大学と学生像が目指されているのだろうか。 

〇学生のメッセージ

吉田寮問題は単に1つの寮が存続できるかどうか、ということ以上の問題を孕んでいる。それは、京大が長年大事にしてきた余裕、寛容さ、自由奔放さ、カオスの文化の継承集団が解散させられかけている、ということだ。とりあえず確保せねばならない利益、ノルマの達成、喫緊の課題の達成に追われがちな世の中。その中にあって吉田寮は無駄な存在に見えるのかもしれない。しかし、そういう存在こそ我々に「豊かさ」を問う。

吉田寮は今コスモロジカルな前線にいる。そして、我々も同時に前線にいる。

 

お前が消えて喜ぶ者にお前のオールを任せるな」 ―引用「宙船」(中島みゆき) 

〇京都大学職員組合職員のメッセージ(抄)

吉田寮は一見、よくわからないカオスのような存在ですが、立場の弱い人を受容してきたシェルターのような存在でもあるように思います。 

〇元熊野寮生のメッセージ(抄)

私は自治寮の低廉な家賃であったからこそ、大学院まで進学できたと考えています。世の中には奨学金という名のローンがあり、それを利用するというのも1つの手ではありますが、大学院まで進学しますと借金額が膨大となりとても苦しむ事となります。返済不要の奨学金もありますが、大抵は5〜8万/月で安く寮以外では家賃で消える額です。大学が安価な住居を提供できればいいのでしょうが、女子寮での値上げの件や他大学の例を見てもそれは絶対に不可能です。言い切っていいと思います。自治寮であったからこその家賃だから、私の今は有ると思っています。貧しい者を排除しないでください。 

〇市民のメッセージ(抄)

長年京大の近くに暮らしてきた近隣住民として、管理化、画一化が進む大学構内にあっても、学生の自由な創造力が残された吉田寮を誇りにしてきました。子どもたちや地域にも開かれた吉田寮は、町の大切な宝です。吉田寮生の対応は、一方的で民主主義のルールを踏みにじる大学よりも、よほど冷静で成熟していると思います。 

〇市民のメッセージ

自治空間としての吉田寮は、学生と市民との交流の場である「京大の縁側」。大学と社会の接点は公開講座(つまり教員の研究と市民との接点)だけじゃないでしょう。

〇京大志望の高校生のメッセージ

現在京都大学を目指している高校生です。昨年の11月祭で吉田寮の見学に参加させていただき、寮生の方々が寮を続けるために様々な活動を主体的に行う様子や、建物の美しさと歴史を感じさせる佇まいにとても感動しました。合格したら吉田寮の現棟にぜひ住みたいと思っていたのですが、大学当局の声明文を読み、もう現棟には住めず寮の自治も認められなくなってきているのかと非常に残念に感じています。教員の方々がこうして声をあげてくださったことが本当に嬉しいです。 

〇元熊野寮生のメッセージ(抄)

止めることができない仲間たちの離脱。大好きだったものがなくなってしまうかもしれない悲しさ。それが歴史上最初から用意されていた落ちるべき穴だとしても、自分たちの代で終わらせてしまうかもしれない罪悪感、無力さ。その苦しさは同じ自治寮を愛した者としてとてもひとごととは思えず、しかし、当事者である彼らの心情はより深く傷ついていることも想像に難くありませんでした。やはり学生というのは、どれだけ団結しようとも、とても無力な存在です。私たち若者だけでは無力だから、どれだけ団結しようとも、一度大人や巨大な権威の力で簡単に吹き飛ばされてしまいます。 

〇学生のメッセージ

僕は寮に特に関わりがなく、「当局と学生の対立」にも興味を持たずに過ごしてきました。寮が取り壊されても僕の生活にはなんの支障もきたさないでしょう。学生の多くは同じだと思います。しかし今の大学のやり方は異常です。「吉田寮生の利益を確保する」ためでなく「異常なやり方にはNOを突き付けうるという立場を示す」ために僕は賛同の声をあげます。こんな小さなことしかできないのがもどかしいですが、同様の学生が増えることを望みます。 

〇教員(木村大治さん)のメッセージ

以前、学生生活委員会第3小委員会(寮問題等担当)のメンバーでした。大学側の立場、寮生側の立場、双方をそれなりに理解しているつもりです。(その均衡点である「団交」に出席するのは、大変だが貴重な経験でした。)しかし今回のように、大学側が、これまで長年にわたって続いてきた寮との関係を、突然掌を返したように変更して強圧的な態度に出るのは非常に不自然に感じます。寮生側も歩み寄りの姿勢を見せているわけですから、大学側も問答無用という姿勢は改めるべきだと思います。これは本学教員の多くが感じていることではないでしょうか。 

〇吉田寮生のメッセージ

吉田寮が大学自治の継承・発展に少なからず貢献できるだろうことに縛られすぎて、地域社会に息づく多様性や活力の源泉としての吉田寮の潜在力を見抜けずにいたことに、私は一寮生として、いま深く反省しています。吉田寮の自治の実体的内容は、一片の規定にあるのではなく、寮生と元寮生、学生、教職員、そして地域住民にも開かれた真剣な討議と行動に基づく課題解決の過程にこそあったのです。山極さん、この議論の輪に加わりませんか

 

賛同者からのメッセージ(4月23日8時現在まで)

◯伊勢田哲治さんのメッセージ

川添理事が吉田寮自治会の質問に文書で回答するようになられたことを評価します。また、19年2月の新方針において、寮自治会と大学執行部の見解の相違はかなり縮小しており、対話による対立の解消の可能性は大きくなっていると考えます。理事には、もう一歩すすめて寮自治会との対話を再開され、対話に基づく問題解決を図られんことを切に望みます。

◯「匿名希望」さんのメッセージ

京都大学当局(副学長)からの吉田寮への回答文書は、管理資質を剝き出しにし、大学自治のみならず、構成員の対話に寄る合意を基本とする民主主義を、根本から否定するものです。また、当局との歴代合意文書を否定することで、先人の粘り強い努力を踏みにじっており、断じて容認できるものではありません。一方的で権威主義的な姿勢は、大学あるいは民主主義社会にそぐわないものであり、川添副学長の退任と京都大学の方針転換を強く要求します。

◯馬場敏弘さんのメッセージ

在学中は吉田寮食堂を利用したり、吉田寮生の友人も多くいました。同窓生として、今回の事態を憂慮しています。懐の広い大学であってほしいと思っています。

予定を繰り上げて、最終集約を4月22日(月)とします。

当初、4月24日(水)を第3次集約としていましたが、諸般の事情により予定を繰り上げ、4月22日(月)を最終集約として、24日に山極総長に賛同者名簿を提出し、記者説明会をしたいと思います。

すでに賛同されている方におかれましては、最終集約前にあらためて同僚・友人・知人にこの緊急アピールのことをお伝えいただければ幸いです。よろしくお願いします。

賛同者からのメッセージ(4月18日20時現在まで)

◯漁野亨さんのメッセージ

京大の伝統である自由な学風を阻害する権力的対応を直ちにやめて, 寮生と真摯に対応すること。

◯「匿名希望」さんのメッセージ

多様性を認めとようとしない京大当局に疑問を呈します。
京大当局が学生に対してアカハラ・パワハラまがいの行動をするなど許せません。

◯エファ・ルーゲルさんのメッセージ

The one-and-half- years that I stayed at Yoshida-ryo provided me with the most valuable insights and encounters one could have in Japan. I am so grateful for every day I could spend in this historical and natural place with such a unique communal spirit. Coming back to Europe, thanks to Yoshida-ryo I could tell people that Japan is so much more than the stereotypes people conceive. It is my deep wish that this place can be preserved for generations to come.

吉田寮で過ごした1年半の日々は私に、日本についての深い理解と、このうえなく貴重な経験をあたえてくれました。長い歴史があり、緑の生い茂る、そしてとてもユニークな自治意識によって運営されている吉田寮で過ごすことのできた1日1日に、心から感謝しています。吉田寮のおかげで、ヨーロッパにもどってから、「日本はふつうに思われているようなステレオタイプとは全然ちがうところだよ」と人々に話すことができました。
吉田寮が、これからの世代の人々のために残されることを、心の底から願っています。

◯竹内至生さんのメッセージ

僕は寮に特に関わりがなく、「当局と学生の対立」にも興味を持たずに過ごしてきました。寮が取り壊されても僕の生活にはなんの支障もきたさないでしょう。学生の多くは同じだと思います。
しかし今の大学のやり方は異常です。「吉田寮生の利益を確保する」ためでなく「異常なやり方にはNOを突き付けうるという立場を示す」ために僕は賛同の声をあげます。こんな小さなことしかできないのがもどかしいですが、同様の学生が増えることを望みます。

賛同者からのメッセージ(3月26日8時現在まで)

◯「匿名希望」さんのメッセージ

 以下の3つの理由から、「吉田寮問題にかかわる教員有志緊急アピール」に賛同いたします。

〇 理由1. 福利厚生の場としての価値
 私は、自治寮の家賃が低廉だったおかげで、京大の学部・院へ進学できました。「それなら、どこかのコンクリートの建物でもできますよね。」とおっしゃる方がおられるかもしれません。確かに、「代替宿舎」は、「現」寮生には用意されています。しかし、今から入学される「未来の」学生の方々には用意されていないようです。

〇 理由2. 多様な「モノのみかた」に触れる場としての価値
 「大学は、『モノのみかた』に触れる場所である。」という言葉に、学部生だった私は感銘を受けました。吉田寮の価値は、「通常、出会うことがない学部や国籍や学年の学生たちが出会い、対話し、それぞれの、多様な『モノのみかた』に触れる、人間的な成長の場」でもあります。「学際プログラム」とか「国際交流プログラム」とかが提案される10年以上も前から、自然発生的になされており、奇跡のような場所です。人・場・時間が揃う機会が重要であると、教育学部の教職課程で学びました。しかし、そのような場は、つくろうと思っても、つくれるものではありません。

〇 理由3. 建築物としての価値
 吉田寮が作り出す空間は、美しいです。たとえば、第三高等学校を象徴する意匠が施された階段の柱、使いやすく工夫された傾斜の手すり、ケヤキ材の一枚板の階段、スギ材の美しい木目の廊下等、数多くあります。
 一方、大学は、研究者が集まる場です。研究者が集って、学会を構成しています。吉田寮の現棟について、日本建築学会近畿支部や建築史学会が建築の見地からも重要であるという発表をしておられます。しかし、大学当局は、回答をしていません。すなわち、現在の状況は、研究者の集団である大学が、研究者の集団である学会の意見を無視している状況です。「大学が、研究者の集まりである学会の意見を無視する。」。それなら、京都大学の研究者は、何を目的として、費用と労力と時間を使って「研究」をしているのかということになります。

 もちろん、上記以外の他の価値もあることは、他の賛同者の方々が指摘しておられる通りです。

 以上の事柄について、寮生と大学当局に関して、知見とノウハウをどちらが多く持つかというと、寮生と思われます。やはり、これらのことについては、寮生と大学が意見交換しないと解決しない問題と考えます。したがって、大学側は、寮生と対話すべきと考えます。

 なお、当方は、現在、立場が不安定な、大学の教員ですので、「匿名希望」とすることをお許しください。
                            以上

◯川北日出夫さんのメッセージ

民主主義的プロセスが蔑ろにされることが多くなった昨今、大学の自治を守ることは、人権を守り幸福を追求する社会をどう築くべきかについて範を示す「知」の力が試されている。

◯「匿名希望」さんのメッセージ

大学が標榜する「自由の学風」「対話を根幹とした自学自習」の理念は失われてしまったのでしょうか。多様性の重要さが謳われる現代にこそ、吉田寮のような対話による自治が根底にある空間が必要なのではないでしょうか。京大は、そのような空間を有していることを誇りに思うべきです。退去勧告の理由は建物の老朽化であるというのが大学側の主張ですが、それが新棟にも及んでいる点で第三者から見ても矛盾を感じます。

◯南利昂汰さんのメッセージ

吉田寮の今のあり方は別として、当局の対応方法は強権的で問題があるとしか言いようがありません。
対話での解決が必要です。また、大学当局側も以前のように学生の自由な自治を認めるべきです。
今の京大は昔の良さを見失っています。

◯「匿名希望」さんのメッセージ

 川添の暴挙を許す京大執行部も許せません。