吉田寮問題にかかわる教員有志緊急アピール

京都大学の教員有志が主体となって「吉田寮問題にかかわる教員有志緊急アピール」を発表しました。 呼びかけの主な対象として想定しているのは京都大学の教授会構成員ですが、一般の方にもご賛同いただけます。賛同の受付は終了しましたが、今後も関連情報などをアップしていく予定です。

賛同者からのメッセージ(3月26日8時現在まで)

◯「匿名希望」さんのメッセージ

 以下の3つの理由から、「吉田寮問題にかかわる教員有志緊急アピール」に賛同いたします。

〇 理由1. 福利厚生の場としての価値
 私は、自治寮の家賃が低廉だったおかげで、京大の学部・院へ進学できました。「それなら、どこかのコンクリートの建物でもできますよね。」とおっしゃる方がおられるかもしれません。確かに、「代替宿舎」は、「現」寮生には用意されています。しかし、今から入学される「未来の」学生の方々には用意されていないようです。

〇 理由2. 多様な「モノのみかた」に触れる場としての価値
 「大学は、『モノのみかた』に触れる場所である。」という言葉に、学部生だった私は感銘を受けました。吉田寮の価値は、「通常、出会うことがない学部や国籍や学年の学生たちが出会い、対話し、それぞれの、多様な『モノのみかた』に触れる、人間的な成長の場」でもあります。「学際プログラム」とか「国際交流プログラム」とかが提案される10年以上も前から、自然発生的になされており、奇跡のような場所です。人・場・時間が揃う機会が重要であると、教育学部の教職課程で学びました。しかし、そのような場は、つくろうと思っても、つくれるものではありません。

〇 理由3. 建築物としての価値
 吉田寮が作り出す空間は、美しいです。たとえば、第三高等学校を象徴する意匠が施された階段の柱、使いやすく工夫された傾斜の手すり、ケヤキ材の一枚板の階段、スギ材の美しい木目の廊下等、数多くあります。
 一方、大学は、研究者が集まる場です。研究者が集って、学会を構成しています。吉田寮の現棟について、日本建築学会近畿支部や建築史学会が建築の見地からも重要であるという発表をしておられます。しかし、大学当局は、回答をしていません。すなわち、現在の状況は、研究者の集団である大学が、研究者の集団である学会の意見を無視している状況です。「大学が、研究者の集まりである学会の意見を無視する。」。それなら、京都大学の研究者は、何を目的として、費用と労力と時間を使って「研究」をしているのかということになります。

 もちろん、上記以外の他の価値もあることは、他の賛同者の方々が指摘しておられる通りです。

 以上の事柄について、寮生と大学当局に関して、知見とノウハウをどちらが多く持つかというと、寮生と思われます。やはり、これらのことについては、寮生と大学が意見交換しないと解決しない問題と考えます。したがって、大学側は、寮生と対話すべきと考えます。

 なお、当方は、現在、立場が不安定な、大学の教員ですので、「匿名希望」とすることをお許しください。
                            以上

◯川北日出夫さんのメッセージ

民主主義的プロセスが蔑ろにされることが多くなった昨今、大学の自治を守ることは、人権を守り幸福を追求する社会をどう築くべきかについて範を示す「知」の力が試されている。

◯「匿名希望」さんのメッセージ

大学が標榜する「自由の学風」「対話を根幹とした自学自習」の理念は失われてしまったのでしょうか。多様性の重要さが謳われる現代にこそ、吉田寮のような対話による自治が根底にある空間が必要なのではないでしょうか。京大は、そのような空間を有していることを誇りに思うべきです。退去勧告の理由は建物の老朽化であるというのが大学側の主張ですが、それが新棟にも及んでいる点で第三者から見ても矛盾を感じます。

◯南利昂汰さんのメッセージ

吉田寮の今のあり方は別として、当局の対応方法は強権的で問題があるとしか言いようがありません。
対話での解決が必要です。また、大学当局側も以前のように学生の自由な自治を認めるべきです。
今の京大は昔の良さを見失っています。

◯「匿名希望」さんのメッセージ

 川添の暴挙を許す京大執行部も許せません。