吉田寮問題にかかわる教員有志緊急アピール

京都大学の教員有志が主体となって「吉田寮問題にかかわる教員有志緊急アピール」を発表しました。 呼びかけの主な対象として想定しているのは京都大学の教授会構成員ですが、一般の方にもご賛同いただけます。賛同の受付は終了しましたが、今後も関連情報などをアップしていく予定です。

賛同者からのメッセージ集(2月28日8時現在まで)

◯江田憲治さんのメッセージ

吉田寮の廃寮には断固反対です。当局は学生との話し合いを行うべきです。

 ◯川島隆さんのメッセージ

京都大学はとにかく対話してください。対話しないことがあたりまえになれば、この大学は私たちが知っている「京都大学」ではなくなります。

◯「匿名希望」さんのメッセージ

吉田寮の存在そのものが、多くの学びを生んでいると思っています。
今回の副学長のあり方は、そのような存在に対する行動として、あまりに欠くものが多いのではないでしょうか。
理念を守ることも大事だし、丁寧な話し合いも大事だし、現実的な着地点を探ることも大事でしょう。
良心のある説明を聞きたいです。

◯冨岡勝さんのメッセージ

 1980年代に吉田寮で寮生活を経験しました。1)一人ひとりが根拠を示してじっくり話し合うことの大切さ、2)寮内のさまざまな仕事を寮生が共同して担うことで寮生間のつながりが生まれること(趣味などが合う友人であるかどうかにかかわりなく、寮生同士のつながり)、3)寮自治はいつも正解が簡単に見つかるのではなく結構悩むことも多いがそれも「なすことによって学ぶ」教育経験であること、4)音楽や文化的行事などを通して寮外の人ともすぐ知り合いになれる開かれた共同性の楽しさ、などを知ることができたような気がします。
 わたしは他大学に勤務しているので京大の構成員ではありませんが、元寮生の一人として、今回の「吉田寮問題にかかわる教員有志緊急アピール」に心から賛同します。
 公表されたアピールを見ても、様々な体験をもとにしたアピール、京大全体の問題として掘り下げたアピール、公的文書や史料を読み込んだアピールなど、個性的で説得力のある主張がなされていることに敬意を表します。創立期から「自重自敬」を重視してきた京都大学において、今回の吉田寮をめぐる動きのなかで、学内でどのような議論が行われていくのか、注目している市民、教育関係者(生徒、学生、保護者、教員など)は少なくないと思います。

◯「匿名希望」さんのメッセージ

2/12告示の「吉田寮の今後のあり方」文書には、呼びかけ人の先生方の御意見も踏まえ主に以下2点の理由により承服しかねますので、私はこのキャンペーンに賛同せざるを得ません。
・この文書では、吉田寮からの退去通告の目的が、これまでの「安全確保」から大学自身が学生に与えてきた「自治」の否定に入れ替わったように読め、一線を超えたという印象を与えること。
・その変化が、管理する大学当局と運営する学生の「コミュニケーション」の場を閉じた状態で起こったことが否定できないものであり、これは京都大学の教育方針の根幹に反するのみならず、倫理的・政治的批判にも耐え難いものであること。

個人的に川添先生には学恩を感じており、先生のことは今でも尊敬しております。当該文書が直接先生がお書きになったものでないにしても先生の責任のもと編集されたという事実に少々狼狽してはおりますが、あくまで研究に対する先生のお姿とは切り分けて判断させていただきます。どのような決定になるにせよ、自治そのものは否定され得ず、対話の場は開いておいて頂きたいです。

◯伊藤玄さんのメッセージ

先ずは2009年4月24日に川添信介・学生部委員会第三小委員長(当時)も出席していた場で示された『吉田南最南部地区再整備・基本方針(案)』の事を、自身の体験記憶でも歴史記録でも良いのでアクセス可能な方は思い出して頂きたい。

メディアセンターと3号館の間の(現在吉田寮に阻まれている)道路を南に近衛通まで延長するだとか、吉田寮(現棟)を取り壊してその跡地に新しい寮棟を建て、西側の焼跡の方に建てる新棟と合わせて収容定員を300人以上とするだとか、取り壊した吉田寮現棟に関しては「伝統を顕彰するため、何らかのメモリアルを作る」だとか、寮生の在寮期間を2年間を原則とするだとか、そんな内容(今回出た『吉田寮の今後のあり方について』の企図をより具体的に描いたものに見える)が色々と書かれている(そのくせ最後の部分「その他、この基本方針のうち新吉田寮への建て替えに関わる事項については、副学長は現吉田寮自治会と十分に協議を行うものとする」の部分については反映する気は無いらしい)。

2019年2月12日に「京都大学」名義で出された『吉田寮の今後のあり方について』の内容は、既に10年前(2009年4月24日)に示されていた『吉田南最南部地区再整備・基本方針(案)』と云う形で川添信介・学生部委員会第三小委員長(当時)が目指していた計画の内、西村副学長(当時)や後任の赤松副学長・杉万副学長との団体交渉に於ける吉田寮自治会及び関係当事者の長期の擦り合わせの努力に基づいてやっと撤回されてもっと建設的に話し合いが進んでいた部分を、副学長として返り咲いた川添信介が、恰も「""I shall return.""と誓ってフィリピンへの権益奪還に執念を燃やし、戦略的には不要だったにも関わらず自軍に多大なる無駄な犠牲を強いながら再占領を果たしたマッカーサー」さながらに元の基本方針案の形そっくりに復活させて圧し果たそうとする内容なのである。

つまり今回「京都大学」の出した内容は、十年前の第三小委員長だった頃からの川添信介氏個人の規定路線なのであり、その様な執念を動機とする積極的な川添氏を、国や財界の息の掛かった現理事会が自治寮潰しに利用せんとして採用しているのである。
その様な現理事会の意図とは、もちろん軍産学協同時代の早期再来を期しての露払いである。教授会自治も、学生自治も、その権勢に対するブレーキとして自治の慣行(惰性の維持)を行使(代謝・蒸散)し続けねば、どんどん自治権(コミュニティ=群落の代謝規模・蒸散量・慣行の行使による拮抗によって動的平衡として保証されている権限・自由と多様性の度合い)を露と奪われ先細りし、軍産学協同・大政翼賛の乾いた緩衝無き同質社会への加速・躍進を容認して行く一方である。

我々が寮運営当事者として行使し続けねばならないのは、寮を自分達の手で維持管理整備し続ける自治の慣行なのである。

◯「匿名希望」さんのメッセージ

元熊野寮生の者です。
私は自治寮の低廉な家賃であったからこそ、大学院まで進学できたと考えています。
世の中には奨学金というなのローンがあり、それを利用するというのも1つの手ではありますが、大学院まで進学しますと借金額が膨大となりとても苦しむ事となります。
返済不要の奨学金もありますが、大抵は5〜8万/月で安く寮以外では家賃で消える額です。
大学が安価な住居を提供できればいいのでしょうが、女子寮での値上げの件や他大学の例を見てもそれは絶対に不可能です。言い切っていいと思います。
自治寮であったからこその家賃だから、私の今は有ると思っています。
貧しい者を排除しないでください。
卒業生より

◯頴川光樹さんのメッセージ

在学中、直接吉田寮に関わった機会は少なかったですが、吉田寮の存在とその出会いについてはかけがえのないものでした。今でも、賢くあれ愚かであれ、あるいはそのような枠組みを超えたものであれ、吉田寮の人々-文化-感性からは学び続けているのです。